【2024年最新】事業承継・引き継ぎ補助金について中小企業診断士が解説!

事業承継・引き継ぎ補助金を診断士が徹底解説
佐藤勇樹

こんにちは。
今回はは日本の多くの中小企業が直面している事業承継についてお話します。
さらにそれを支えるための事業承継・引き継ぎ補助金についても解説していきます。

目次

多くの中小企業が後継者不足に悩んでいる

そもそも中小企業はなんと99%もの会社が中小企業なんですね。
つまり中小企業は日本の経済や雇用を支えるとても重要な存在なんです。

でも今この中小企業は大きな問題に直面しています。それが後継者物足という問題です。
後継者とは会社を引き継いでくれる次の世代のことですが、この後継者が見つからない中小企業が非常に増えているんですね。

後継者が見つからない中小企業は年々増えており、2021年では62.5%の中小企業が後継者がいない問題を抱えているという調査結果も出ています。

中小企業の後継者不足率の推移
中小企業の後継者不足率の推移
(中小企業庁「中小企業の事業承継に関する調査」より作成)
佐藤勇樹

例えば会社をやっている社長さんが引退したくても、後を引き継いでくれる人がいないとその会社は続けられないですよね。
日本ではこうした理由で毎年多くの会社が亡くなってしまっています。
これって本当にもったいないことですよね。

そこで国はこの後継者不足の問題を解決するために、「事業承継・引き継ぎ補助金」というサポートをしています。
この補助金は会社を引き継ぐ時の費用をサポートして、事業承継をしやすくするための制度なんですね。
簡単に言うと会社を続けたい人や会社を引き継ぎたい人に向けたサポート制度なんです。

今回はこの事業承継・引き継ぎ補助金について3つのサポート枠がありますので、そちらについてわかりやすくお話をしていければと思います。

事業承継・引き継ぎ補助金は「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」がある

佐藤勇樹

事業承継・引き継ぎ補助金は、それぞれ経営革新枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠という3つの枠がありますので、そちら順番に見ていければと思っております。
最後まで見れば、中小企業の事業承継がどうして大切なのか、そしてそれを助ける事業承継・引き継ぎ補助金について理解できると思います。

事業承継とは会社を次の世代に引き継ぐこと

さて、まずは事業承継について簡単に説明していきます。
皆さん事業承継って聞いたことありますでしょうか?事業承継とは会社を引き継ぐことを言います。
イメージとしてはバトンを次の世代に渡すようなイメージですね。
 
例えば、あるパン屋さんが社長がいたとして、その社長が歳を取って引退しようと思った時、そのお店を誰かが引き継いでくれないと、せっかく今まで継続してきたお店も閉じるしかないですよね。
でも、引き継いでくれる人がいれば、今までと同じようにパン屋さんを継続することができます。
 
このように事業承継は、お店や会社を次の世代に引き継ぐことで、事業を続けていくための大事な手段なんですね。
でも、今の日本では、この事業承継がうまく進んでいないんですね。
社長さんが引き継ぎたいと思っていても、後を継いでくれる人がいないという問題がたくさんあります。

事業承継の課題

事業承継・引き継ぎ補助金で後継者不足の問題を解決

それで、このままだと日本のたくさんの会社がなくなってしまうかもしれない、という心配がされておりまして、そこで、我が国が「事業承継・引き継ぎ補助金」といった補助金を用意して、中小企業は次の世代にバトンを渡せるようにサポートしているんですね。
 
つまり、事業承継は日本の会社やお店を未来に残していくために、とても重要なことなんですね。
それでは、ここからは、中小企業を助けるために、国が提供している事業承継・引き継ぎ補助金についてお話していければと思います。
 
まず、この補助金を出しているのは、中小企業庁という国の機関です。
中小企業庁は、日本の中小企業をサポートするために、いろいろな取り組みを行っています。
 
この事業承継・引き継ぎ補助金も、中小企業庁が中小企業の後継者不足を支援するために作った補助金です。
これは、中小企業が会社やお店を次の世代に引き継ぐ時に、かかる費用をサポートするためのものです。

例えば、次の経営者に会社を渡すには、経営の引き継ぎ準備や会社の改善、新しい設備の導入など、様々な費用がかかりますよね。
でも、中小企業にとって、こうした費用の負担はとても大きなものです。
そこで、中小企業庁は、この「事業承継・引き継ぎ補助金」を通して、事業を引き継ぐために必要な費用を一部補助してくれるのです。

このサポートによって、中小企業が安心して、次の世代に会社を引き継ぐことができるようになります。

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補助金を受けるためには、会社が後継者に引き継がれる際に、新しい取組や経営の改善などを行うことが条件になっていますが、この辺りの詳しい内容は、後ほど説明しますね。

事業承継・引き継ぎ補助金の「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」

佐藤勇樹

それでは、ここから事業承継・引き継ぎ補助金の3つの補助金枠についてお話ししていきます。
この補助金には、それぞれ目的に合わせた3つの枠があり、会社を引き継ぎたい人たちを様々な形でサポートしているのです。

この3つの補助金枠とは、「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」と呼ばれるもので、それぞれ違った目的はサポート内容があります。

事業承継3つの枠、「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」

順番に説明していきます。

まず1つ目は経営革新枠です。
この経営革新枠は、会社を引き継ぐタイミングで、新しい商品を作ったり、事業の改善を行うための費用をサポートしてくれる制度ですね。
新しい取組を行うことで、会社をもっと元気にしようというような趣旨の内容です。
 
例えばデジタル化、環境に配慮したグリーン化、または新しい商品開発などが対象になります。
後継者が会社を引き継ぐだけではなく、新しいチャレンジを行うことが求められるんですね。これ要注意です。

次に2つ目の補助金枠、専門家活用枠です。
この枠は会社を引き継ぐために、M&Aを行う際に専門家にかかる費用を負担してもらえる枠です。

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M&Aとは会社の売買や合併などを表すというふうにここで考えておいていただければOKです。

会社の売買や合併などのM&Aを行うときに、M&Aって仲介業者とか専門のサポートが専門家というのがいるんですけど、その専門家のサポートを受けるための費用を補助してくれる枠が専門家活用枠なんですね。
M&Aを行う際には専門のアドバイザーや仲介業者のサポートが必要になることが多いですが、その費用を一部負担してもらえるのがこの専門家活用枠です。
これによって引き継ぎがスムーズに進みやすくなります。

そして3つ目は廃業・再チャレンジ枠です。
この枠はどうしても会社を続けることが難しく、廃業しなければならない場合の費用をサポートしてくれるものです。
廃業・再チャレンジ枠の廃業とは、廃業には色々な費用がかかると思うんですけれども、この補助金でその一部がサポートされるため会社を終わらせた後に新しいチャレンジを始めやすくなりますよね。

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このようにそれぞれの補助金枠が中小企業の事業承継をサポートし、後継者不足の問題を解決する手助けをしてくれるんですね。
次はこの3つの補助金枠の内容をもう少し詳しく見ていこうと思います。

「1. 経営革新枠」は「グリーン化」「デジタル化」「新規事業」の何れかを行うのが条件

まずは経営革新枠についてどんなサポートが受けられるのか見ていこうと思います。
この経営革新枠は会社を引き継ぐ時に新しいチャレンジをするための費用を応援してくれる補助金なんですね。
会社を引き継ぐだけでなく新しい取組を始めてもっと会社を元気にしていきたい。
そういった時に役立つ補助金です。

佐藤勇樹

例えば今までいなかった商品を開発したり、デジタル化や環境に優しいグリーン化などにチャレンジすることで会社の生産性をアップさせることが目的としてこの補助金は活用が可能です。

経営革新枠は引き継ぎの際に会社をさらに成長させようとする会社やお店にとってとても頼りになる補助金なんですね。
ここでは経営革新枠がどんなサポートをしてくれるのかそしてその目的について簡単に紹介しますね。
 
経営革新枠は事業を引き継ぐタイミングで、新しいことにチャレンジする中小企業を応援するための補助金です。
この枠の目的は会社をもっと成長させること、新しい商品やサービスを提供したり、最新の技術を取り入れたりすることで会社がさらにパワーアップできるようサポートしてくれるんです。

例えば新しい商品やサービスを作ったり、業務をデジタル化して効率を上げたり、環境に優しい取組を始めたりというようなことが補助の対象になります。
新しいサービスを作ったり、業務をデジタル化して効率を上げたり、グリーン化、環境に優しい取組を始める、こういった新しい取組は補助の対象になります。
 
こうしたチャレンジをさせることで、地域社会にも貢献できる会社に成長してほしいというのが、この経営革新枠の目的なんですね。

経営革新枠には「1.創業支援類型」「2.経営者交代類型」「3.M&A類型」の3種類ある

佐藤勇樹

それではここで経営革新枠の3つのタイプについて簡単にご紹介します。
経営革新枠には会社を引き継ぐ方法や目的に応じた3つのタイプが用意されているんです。

「経営革新枠の3つの類型」1. 創業支援類型、2. 経営者交代類型、3. M&A類型

まず1つ目の創業支援類型。
こちらは新しく会社を始める。つまり創業する人に向けたサポートです。
例えば他の会社から事業を引き継いで、新しい会社としてスタートする会社が対象になります。
 
2つ目の経営者交代類型は、親族や従業員に会社を引き継いでいく時のサポートです。
親族や従業員に会社を引き継いでいく時のサポートが2つ目の経営者交代類型ですね。(
例えば家族が会社を受け継ぐ場合や長年働いてきた従業員が次の社長になる時などにこちらの枠は利用可能です。
 
そして3つ目のM&A類型
こちらは会社を他の事業に、他の企業に売却したり合併したりするケースがM&A類型のタイプですね。
いわゆるM&Aで事業を引き継ぐ時のサポートで、他の企業に実会社を引き継いでもらう時に使えるタイプの補助金制度になっています。

それではこの3つのタイプを1つずつ詳しく見ていきます。

「1.創業支援類型」は新しく別の事業を始める時に使える補助金

佐藤勇樹

それではまずは経営革新類型の、まずは経営革新枠の1つ目のタイプ、創業支援類型について詳しく見ていきましょう。

このタイプは新しい事業を始めるためにサポートをしてくれるための補助金制度です。
例えばある会社が事業を引き継いでもらいたい時に、引き継ぎをきっかけとして新しく会社を設立したり独立して個人事業主としてスタートしたりと考える人がいますよね。

この創業支援類型はそうした新しいチャレンジを始める人たちを応援するための補助金なんです。
具体的には事業を引き継ぐための準備費用や新しいオフィスの設置費用、設備を整えるための費用など創業にかかる色々な経費をサポートしてくれます。
つまり創業支援類型は新しい事業をゼロから始める時の、初期費用の負担を軽くしてくれる補助金といっても過言ではないと思います。

経営革新枠 「1. 創業支援類型」事業を引き継ぐための準備費用、新しいオフィスの設置費用、設備を整えるための費用など

このサポートによって今までにない新しい事業を始める人が増えたり、地域に新しいビジネスが生まれたりといったことが期待されています。
創業支援類型はまさに新しいスタートを切るために大きな後押しになるんですね。

「2.経営者交代枠類型」は引き継ぎにかかる様々な経費を補助

佐藤勇樹

では次に、経営者交代枠類型。2つ目の経営者交代枠類型について見ていきましょう。

このタイプは親族や従業員に会社を引き継ぐ場合のサポートです。
例えば長年経営してきた会社を子供に引き継いでもらいたい、または信頼する従業員に会社を任せたい、そういった時がありますよね。
この経営者交代類型ではそんな場面で次の世代にスムーズに会社を引き継いでもらうための補助金制度なんですね。
 
このサポートでは会社を引き継ぐ際の設備投資や業務を引き継ぐための研修費用、経営改善のための費用など、引き継ぎにかかる様々な経費を補助してくれます。
つまり経営者交代入る意見は次の世代に会社を渡す際の負担を軽くして、しっかりと授業が引き継げられるようにサポートする補助金制度なんですね。

経営革新枠「2. 経営者交代枠類型」設備投資、業務を引き継ぐための研修費用、経営改善のための費用

この補助金を使うことで家族や従業員、この制度を使うことで家族や従業員に会社を引き継いでもらいやすくなり、地域に根付いた会社が続いていく、そういったことが期待されています。

事業が引き継がれることで地域の経済や雇用の維持にもつながるので、この経営者交代枠類型は大きなメリットがあると思います。

「3.M&A類型」は引き継ぎにかかる様々な経費を補助

佐藤勇樹

では最後の3つ目、M&A類型について見ていきましょう。

このタイプは他の会社に引き継ぐ時のサポートする類型の補助金になっています。
こちらM&A類型は会社を売却したり合併したりして、事業を他の企業に引き継ぐ時に使える補助金です。
 
M&Aとは、聞いたことがありますでしょうか?
一応、説明させていただきますと、M&Aは、ある会社が他の会社を売取したり、他の会社が合併したりして、事業を引き継ぐ方法です。
会社を引き継ぐ相手が短い場合、M&Aは会社を続けるための有効な方法の1つなんですね。
 
このM&A類型の補助金は、会社を引き継いでくれる相手を探すための仲介費用や合併のための専門会の相談料など、M&Aにかかる様々な費用をサポートしてくれます。
つまり、M&A類型は他の会社に事業を引き継いでもらう時の初期費用を補助して、会社を円滑に引き継ぐ手助けをしてくれるんですね。

経営革新枠「2. M&A類型」M&Aの仲介費用、合併のための専門会の相談料

この補助金を使うことで、例え家族や従業に引き継ぐ人がいなかったとしても、会社の存在をサポートすることができますよね。
そして会社がなくなることはなく、地域の経済や雇用の維持にもつながるのが、このM&A類型の大きなメリットになっています。

経営革新枠には「1.デジタル化」「2.グリーン化」「3.事業再構築」の何れかが必ず必要

最後に、経営革新枠の申請にかかせないポイントについてお話します。
この枠で補助金を受けるには、事業計画に必ず含めるべき3つの要素があるんですね。
それをぜひ聴いていただければと思います。

経営革新枠にかかせない3つのポイントです。
この3つの要素とは、「1.デジタル化」「2.グリーン化」「3.事業再構築」、このいずれかを含める必要があります。
デジタル化、グリーン化、事業再構築、この3つの要素、いずれかを含める必要があります。
事業計画所には、これらの取り組みをどのように行うかを具体的に記載する必要があるんですね。

経営革新枠の必須要件 : デジタル化、グリーン化、事業再構築

まずはデジタル化についてです。
デジタル化とはビジネスの効率を上げたり、新しい価値を生み出すためにデジタル技術を取り入れることをさします。
例えば、業務の自動化、データ分析による顧客管理、オンライン販売の導入などが考えられます。

次に、グリーン化です。
これは環境に優しい取組みを行うことです。
例えば、エネルギー効率の高い説明の導入やリサイクル素材を使った商品開発、または廃域物の削減などが対象になります。
地球に優しい企業づくりを目指す取組み、そういった形でグリーン化は覚えておいていただければと思います。
 
そして最後3つ目が事業再構築です。
これは事業再構築補助金って聞いたことありますかね。
 
その補助金とは別なんですけれども、これは今の事業を新たな方向に進めたり、経営の大きな転換を図る取組みになっています。
例えば、新しい分野に進出したりだったりとか、既存の製品を改善して新たな市場に展開するなど、事業の形を大きく変えることが事業再構築の類型には求められています。

佐藤勇樹

経営革新枠の補助金を申請するためには、これら3つの要素のうち、少なくとも1つを取り入れた計画が必要になっています。
申請の際には、この取組みがどのように会社の成長や地域の貢献につながるか、しっかり説明することがポイントになっています。
ここ事業計画書を作成する上で作成する上で重要なポイントですね。

このように、デジタル化、グリーン化、事業再構築の、いずれ化を計画・事業計画に組み込むことで経営革新枠の申請条件をクリアできるんですね。
事社にあった取組みをしっかり計画して補助金を最大限に活用しましょう。

「2. 専門家活用枠」はM&Aに関わる費用を補助してくれる

専門家活用枠は弁護士、会計士、診断士などの費用を補助してくれる

佐藤勇樹

それでは、次は専門家活用枠について詳しく見ていきましょう。
この補助金枠は会社を引き継ぎたい時に専門家のサポートを受けるための補助金なんです。

プロのサポートを受けることで会社の引き継ぎが確実に、そしてスムーズに済むのがこの専門家活用枠の大きな特徴です。
これから会社を引き継ぐ予定がある人や、引き継ぎ先を探したい人にとって心強い補助金ですよね。
 
それでは専門家活用枠でどんなサポートが受けられるのか詳しく見ていきましょう。
この補助金枠では会社の引き継ぎをスムーズに行うために、必要な専門家の費用を補助してくれる制度なんですね。
 
例えば、M&Aの仲介費用や会社の価値を評価してもらうための費用、または手続や契約に関する専門家の相談、専門家の相談料などが補助の対象になります。
会社の引き継ぎ先には色々な準備が必要ですが、こうした費用がサポートされることで安心して引き継ぎに取り組むことができるんですね。

会社に引き継ぎには法律や税金、手続きなどの専門知識がたくさん必要なんですね。そこで専門家の力を借りることで引き継ぎがスムーズに進むようサポートしてもらうのがこの専門家活用枠になります。

具体的には、M&Aの仲介業者や税理士、公認会計士、中小企業診断士など、引き継ぎに関わる専門家に説明することで、相談することで必要な手続きや資金計画・契約内容をしっかりと準備することができます。
この補助金を使うことでのアドバイスや仲介サービスを安心して受けられるようになるんですね。

専門家活用枠の費用 : M&Aの仲介業者
税理士、公認会計士、中小企業診断士の相談料/コンサルフィーなど

例えばM&A用する前には、仲介業者や専門家に相談しながら相手先企業との条件や価値をきちんと確認することが大切です。
この相談料や会社の価値を評価するために費用が補助対象になっています。
さらに契約書を作成する際にも専門家の力が必要ですよね。M&A用には複雑な契約手続はつきものですが、この契約に係る費用も補助金の対象になっています。

専門家活用枠では企業の「買い手」も「売り手」も両方支援

佐藤勇樹

さらに、この専門家活用枠には2つのタイプがあります。「買い手支援型」と「売り手支援型」。
この2つですね。買い手支援型、売り手支援型。

まず、買い手支援型に関しては、会社を引き継ぎたいと考える人のためのサポートです。
例えば、新しく会社を買いたい人が、M&Aの仲介費用や専門家に相談したい時、その費用を補助してくれます。

一方、売り手支援型は、会社を引き継ぎたいと考えている人のためのサポートです。
 
例えば、自分の会社を売りたい時、売却のための仲介費用や手続きをスムーズに進めるための専門家費用を補助してくれるんですね。
つまり、買い手支援は引き継ぐ人、売り手支援は引き継ぎでもらいたい人のためのサポートなんです。
どちらのタイプでも、それぞれに必要なサポートが受けられるようになっているんですね。
次に、この専門家活用を分かるために、必要な条件についてお話します。

「M&A支援機関登録制度」に登録されている専門家から選ぶことが要件

この補助金で、専門家のサポートを受けるためには、M&A支援機関登録制度というものに登録されている専門家を利用することが条件になっています。

M&A支援機関登録制度とは、会社の引き継ぎを専門的にサポートしてくれるプロフェッショナルが国の認定を受けて登録されている制度のことです。
国から認められたプロのM&A支援機関、そういったイメージですね。
 
この登録によって安心して信頼できる専門家からサポートを受けることができるといった制度になっています。
 
具体的にどんな専門家が登録されているのか少し紹介しますね。
例えばM&A専門業者、金融機関、商工団体、そして、税理士、公認会計士、中小企業診断士、弁護士など様々な分野のプロフェッショナルが登録されています。

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こうした登録専門家や、こうした登録専門家は会社の売買や合併に関する手続やアドバイスに詳しい人たちと思っていただいては構わないです。
彼らのサポートを受けることで引き継ぎがスムーズに進むように手助けしてもらえるんですね。

このように信頼できる専門家サポートを受けるためには、M&A専門機関登録制度に登録されたプロフェッショナルであることがポイントになります。
これから会社の引き継ぎを考えている方は、ぜひ登録専門家を活用して安心してサポートを受けてくださいね。
 
さて専門家活用家で受けられる補助金は具体的にどんなことに使えるのかを見ていきましょう。
この枠の補助金は会社を引き継ぐためのM&A用に関する相談や契約に係る費用を使うことができます。

補助事業の期間については規定があるので、最新の情報を確認

佐藤勇樹

補助事業期間についても詳しく見ていきましょう。
専門家活用家の補助金を使う際の重要なポイントである補助事業期間について説明していきます。

補助金を受けるにはこの期間内にしっかりと手続を進めることが大切なんですね。
一応ご説明させていただくと補助対象期間内に支出したものしか補助金の対象にしかなりませんので、そちらご注意いただければと思います。

M&Aや事業承継には準備や相談に時間がかかることも多いです。
そのため補助事業期間が始まる前から契約を立てておくことがとても大事なんですね。
さらに契約手続が補助対象期間内に完了していないと補助金が減額される場合もあります。
タイミングをしっかり確認してスムーズに手続を進めるようにしましょう。

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この補助対象期間の確認とタイミング管理は補助金を最大限に活用するためにとても重要となっています。
計画的に進めることで安心してM&Aや引き継ぎに取り組むことができるようになります。

「3. 廃業・再チャレンジ枠」は引き継ぎを断念して会社を閉じるときに使う

廃業の費用や新たなチャレンジをするときに使える補助金

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それでは最後に廃業が必要な場合に使える廃業・再チャレンジ枠についても見ていきましょう。

この補助金枠はどうしても会社を続けることが難しく廃業せざるを終えないときに、その後の新しい挑戦をサポートするための補助金です。

例えば長年続けてきた授業を引き継いでもらえる人が見つからなかったり、経営が難しくて会社を終わらせなければならないこと、経営が厳しくて会社を終わらせなくてはならないそういった時もありますよね。
 
でもそんな時に新たなスタートを切るために準備を進むのがこの廃業・再チャレンジ枠なんですね。
具体的には会社を閉じるためにかかる費用や次の仕事や授業を始めるために必要な経費が補助の対象となります。

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例えば店舗や工場を片付けたり在庫を処分したりする費用などが対象となります。
リースの解約費用なんかも対象です。

また新たなスタートを切るために必要な手続きやビジネスに関する研修費用などもサポートしてくれる場合があります。
このように事業を一度終わらせることが必要になっても次のステップを応援してくれる補助金なんですね。
つまり廃業・再チャレンジ枠は会社を閉じるという難しい決断をした方にとって新たな挑戦を支援してくれる心強いサポートなんですね。
 
経営の経験を生かして新しいことに挑戦したい、そんな方にとって頼りになる補助金となっています。

廃業・再チャレンジ枠は在庫処分や新規事業の研修費用などが対象

それでは、再チャレンジのサポート内容についてもう少し詳しく見ていきましょう。
この再チャレンジのサポートは、事業を終わらせた後、新しいスタートを切るための支援をしてくれるものとなっています。
 
例えば、長年経営してきた事業を閉めた後に、別の事業を新しく始めたいであったりとか、個人事業主として新しい挑戦をしたい、そういった方にとってこのサポートはとても心地よいものとなります。

具体的には廃業にかかる様々な費用を補助してくれます。
店舗や工場を片付けるための現状回復費用や在庫処分をするための費用が含まれます。

さらに、新しい事業を始めるための準備にかかる費用やビジネスに必要な研修費用なども補助対象です。
こうした費用がサポートされることで、経済的な負担を少しでも軽くし、再スタートに集中できるようにしています。
つまり、この再チャレンジのサポートは廃業しても新しいことに挑戦する良い欲がある方にとって、次のステップに進むために応援をしてくれる補助金なんですね。

廃業・再チャレンジ枠の費用 : 在庫処分、店舗/工場の閉鎖、新規ビジネスの研修費用
佐藤勇樹

このように、廃業・再チャレンジ枠は、事業を終えるための費用と、最出発に必要な準備費用。
これはしっかりとサポートしてくれる補助金なんですね。
 次のスタートを前向きに切るための強い味方に補助金はなってくれると思います。

廃業・チャレンジ枠は事業を売却しようとした証拠があった証拠が必要。

佐藤勇樹

廃業・再チャレンジ枠を使うには、会社の売却を専門家や仲介業者と一緒に取り組んだという証拠が必要です。

例えば、第9次公募の場合、2022年1月1日から2024年4月30日までの間に、売り手としてM&Aに取り組み、少なくとも6か月間努力したというような証拠が求められます。

さらに注意点として、申請者自身がM&Aに直接着手した場合は補助対象を外となることがあります。
つまり、申請者本人ではなく、仲介業者などを通じて引き継ぎ先を探している場合のみが対象となるんですね。
 
再チャレンジの場合は、補助事業を期間内に廃業を完了し、その後に新しい事業や活動に再チャンスすることも必要です。
具体的には、新たに会社を設立する個人事業を始める、または別の会社に就職する、そういった新しい挑戦の計画であることが求められています。

「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」ともに併用申請が可能。

佐藤勇樹

ここで知っておきたいポイントがもう一つあります。それは、「1.経営革新枠」「2.専門家活用枠」「3.廃業・再チャレンジ枠」ともに併用申請が可能。

併用申請ができるということは、例えば、経営革新のための新しい取り組みに係る費用と、引き継ぎのための専門家を活用する費用を同時にサポートしてもらえる、そういった意味になります。

例えば、会社を引き継ぐ際にデジタル化や新商品開発を行いながら、その準備や手続きを専門家に相談したいとき、両方のサポートを併用することで、より充実した補助を受けることができるんですね。
 
この併用申請によって、会社より効果的に引き継ぐための準備がしやすくなるといったメリットがあります。
経営革新と専門家のサポート、どちらも活用することで、事業の引き継ぎがスムーズに進んで、会社の成長も期待できる、そういったところですからね。

佐藤勇樹

もちろん、併用申請にはそれぞれの補助金額の条件を満たす必要があるんですけれども、条件をクリアしていれば2つの補助金枠が使用可能となっています。

このような条件を満たさない場合、申請が認められないことがありますので、申請前に自分の状況が条件に合っているか確認することが大切です。
また、新しい詳しい条件に関しては最新の公募要領を必ず確認しましょう。

佐藤勇樹

公募要領を見ても分からない場合は、当社でコンサルティングもできますので、お問い合わせください。

補助金の採択率は40%から60%と比較的高い

佐藤勇樹

採択率と申請の実際、ここでは実際にどれくらいの企業がこの補助金に採択されているのか、そこについて見ていければと思います。
申請するにあたって採択率がどれくらいかというのは、結構気になるポイントですよね。

直近のデータによると、事業承継・引き継ぎ補助金の採択率は時期によって異なりますが、時期によって違うんですけれども、およそ30%から60%となっています。

佐藤勇樹

直近4回の採択率は下記の通り、60%前後となっています。
つまり、申請をした企業のうちで最大6割ほどが補助金を受けることができているんです。
この採択率は他の補助金と比べても比較的高いのではないかなと思います。

事業承継・引き継ぎ補助金の採択率の推移
事業承継・引き継ぎ補助金の採択率の推移

それでも全ての申請が通るわけではありませんが、申請を成功させるためには補助金の条件をしっかりと満たして申請内容をきちんと整える、そういったことが最低限必要な条件になってきます。

佐藤勇樹

また、過去の申請件数を見てみると、専門家活用枠の申請が最も多く、1回の公募につき約350件から500件ほどあります。

多くの中小企業が事業承継の際に専門家のサポートを受けるための補助金を利用しています。
事業を引き継ぐときに税理士や中小企業人などの専門家のサポートは重要です。
手続きは契約、資金計画など専門的な知識が必要となる場合が多いため、多くの企業がこの枠を活用しているんですね。

佐藤勇樹

一方で、廃業・再チャレンジ枠の申請数はかなり少なく、年間で20件から40件ほどにとどまっています。この枠が少ないようにはいくつか背景があるんですね。

まず、廃業には心理的なハードルがあります。長年続けてきた会社や事業を終える決断は簡単にできるものではないですよね。
経営者にとっては大きな決断であり、そのためにどうしても申請が少なくなってしまうという状況があると考えられます。
 
また、廃業の際には店舗の設備の片付け、在庫食など予想以上に時間と費用がかかることが多く、再チャレンジの準備が必要です。
このように手間や準備が多いことも申請の少なさにつながっていると言えます。
このように専門家活用枠が多く、廃業・再チャレンジ枠が少ないのは、各枠が持つ目的やハードルに違いがあるからなんですね。

まとめ

まず、今回ご紹介した事業承継・引き継ぎ補助金は、会社を次の世代に引き継ぐ際に役立つサポート制度、そういったふうに覚えておいていただければと思います。

3つの補助金枠、要は経営革新枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠があり、それぞれの異なる目的に合わせたサポートをこの補助金では提供している、そういったイメージですね。
 
経営革新枠は事業の引き継ぎをきっかけに、新しい取り組みを始めたい企業向けの補助金。
専門家活用枠は専門家の力を借りて、M&Aや引き継ぎをスムーズに行った一体企業向け。
そして、廃業・チャレンジ枠は廃業を選択して、次のステージに進みたい、そんな形を応援する制度となっています。
 
採択率に関しては約60%前後と比較的高めですが、しっかりと条件を満たし、計画を整えることが非常に重要になってきます。
しっかりと条件を満たして計画を整えることが重要です。
また、専門家活用枠の申請が多く、廃業チャレンジが少ない傾向にあることもご紹介させていただきました。それぞれの補助金枠の特性や目的に合った申請方法を選ぶことがポイントとなってきます。
 
最後に、申請を成功させるためには最新の公募要領を確認し、条件や必要処理をしっかりと準備することはかかせないです。
相見積の取得や補助対象期間を守ることはとても重要なので、それだけは必ず守るようにしてください。

佐藤勇樹

以上で、事業承継・引き継ぎ補助金の概要と申請のポイントについての説明を終わります。
今後も経営や補助金に関する情報をお届けしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

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この記事を書いた人

佐藤勇樹のアバター 佐藤勇樹 中小企業診断士

千葉商科大学出身で、出身大学初の「中小企業診断士」の資格を取得。
大学卒業後、大塚商会に就職し3年働いたのち融資・補助金コンサルタントとして独立。
独立3年での融資・補助金の調達総額は9億1,431万円(令和5年12月時点)。
現在は中小企業診断士として、引き続き補助金コンサルタントとして補助金の申請・代行業務を中心にしつつ、自身の補助金コンサルタントのスキルを体系化した「補助金コンサルタント養成講座」を主催し、後進の士業の育成を行っている。

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